地下室は、遮音性が高く、外気による温度変化の影響を受けにくいなどの利点があります。加えて、建ぺい率や容積率などの法的制限を回避できるというメリットもあります。反面、通常の建築物では想定しないような弱点もあります。特に、豪雨時の冠水では、水圧によりドアが開かない・電気系統が停止しエレベーターが動かない、などの不測の事態により、過去に犠牲者も出ています。地下室を設ける際に考慮すべきポイントを紹介します。
(居住環境)
窓のない地下空間では、光が入らず、換気や排煙も十分に行うことができません。機械設備を設置するなど、健康で衛生的な生活環境を意識的に作り出す必要があります。なお、からぼり(ドライエリア)を設けることで、これらは一定改善できる場合があります。
(防湿・防水)
直接土に接する地下室の外壁等は、防水層を設けるなど、十分に防水措置を行うことが必要です。また、ドライエリアを設けた場合などには、雨水排水設備が必要となります。豪雨によって急激に水位が上昇する恐れもありますので、排水ポンプの能力には余裕を持たせることが望ましいです。
自然災害はいつどのように起きるか予測がつかず、時に大きな被害をもたらします。地下室の設置を検討する際は、冠水の可能性や地下水位など、周囲の状況や地形、歴史などを十分に考慮した上で、設置可能かどうかを判断してください。