古い長屋を購入し、1戸建てに接続改装する相談が増えています。
長屋のリフォームで最も懸念されるのは、その耐震性です。
長屋の耐震性について、3つのポイントを挙げます。
1.建築時期
長屋は建築時期の古いものが多く、耐震性に不安を抱えています。
特に耐震基準が強化された昭和56年5月以前に建てられた建築物は、
現行基準に比べ耐震性が劣るものが多いため、注意が必要です。
2.X軸方向(建物前面・背面)の壁
間取りの特徴上、長屋の耐震性は高くありません。
壁は、抵抗できる揺れの向きで「X軸方向の壁」と「Y軸方向の壁」に分類されますが、
X軸方向の壁は、玄関や玄関横の窓、建物背面(庭側)の窓など、
そのほとんどが採光窓となっており、X軸方向の揺れに抵抗する壁がほとんどありません。
リフォームでX軸方向に耐力壁を設ける場合、採光確保との両立が課題となります。
3.Y軸方向(建物側面・戸境)の壁
長屋の界壁(戸境の壁)を撤去して2住戸をつなげる場合、
今度はY軸方向の耐震性が失われてしまいます。
長屋の界壁は、構造耐力上主要な耐力壁となっていることが多く、
これを撤去する場合は、十分な検討が必要です。
長屋のリフォームでは、このような課題を抱えていますが、
弱点をきちんと理解し、耐震性を高める工夫を行うことで、
古い建物でも安心して暮らすことができるのです。