「雨をしのぐ」ことは、住宅のもっとも基本的な役割の一つです。しかし、不適切な施工を原因とする雨漏りのトラブルは後を絶ちません。防水工事とはどのような工事なのか、木造住宅を例に、主な工法とそのポイントをご紹介します。
(屋根の防水工事)
屋根の防水を考えるうえで、まずは屋根の「傾斜」を確保することが大切です。スレート瓦や金属屋根など、屋根材の種類によって適正な勾配が異なります。屋根葺き工事に際しては、所定の重ねしろを確保するなど、確実な施工が求められます。屋根の単部(軒先・けらば)や頂部(棟)には役物や板金・カバーなどを適切に使用しなければなりません。瓦の下地(野地板)にはルーフィング(防水シート)を貼ります。ルーフィングについても所定の重ねしろを確保するなど、適切に施工することが大切です。また、下屋と2階外壁の取り合い部分は雨漏りのリスクが高く、下屋のルーフィングを壁面に沿って一定高さまで立ち上げます。
(ベランダの防水工事)
部屋(1階)の上部に設けるベランダ(ルーフバルコニー)には、より確実な防水工事が求められます。最近の木造住宅ではFRP防水が広く使用されています。FRP防水は、塗膜防水の一種で、液状の不飽和ポリエステル樹脂に硬化剤を加えて混合したものをガラス繊維などの補強材と一体にしたものです。塗膜が硬化して出来上がった防水層は、継ぎ目が無いため防水性が高く、複雑な形状にも施工が可能です。また、軽くて強いこともメリットです。素材が硬く、伸縮性が小さいため、下地の動きに追従できずにクラックが入ってしまうケースもあります。紫外線に弱く、定期的なメンテナンスが必要です。
防水工事が適切に施工されないと、建物内部に水が入り込み、長い期間をかけて構造材が傷むなどの致命的な欠陥につながってしまいます。防水工事は、信頼できる工事店に依頼し、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。