勾配の無い(緩い)陸屋根の住宅などでは、屋上のスペースを活用したいと考える方もいます。このような場合、一般的には外階段を付けて屋上に上がることになりますが、ここで注意すべきポイントを挙げてみます。
(屋上の積載荷重)
建物を設計する際には、屋根(屋上)にかかる積雪荷重、固定荷重(屋根材そのものの自重)、積載荷重などを想定して計算しています。非歩行の屋上では、積載荷重を低めに見積もりますので、頻繁に歩行したり、重量物を置くなどすると、構造計算の前提条件が崩れてしまいます。屋上を利用する際には、想定外の大きな荷重がかからないよう気を付けなければなりません。
(屋上の防水切れ)
もともと屋上の利用を想定していなかった場合は、屋上利用により防水層が傷む恐れがあります。屋上利用を前提とした防水方法への見直しも視野に入れ、再検討を行う必要があります。
(外階段)
屋上利用そのものは、床面積や建築面積が増えるわけではありませんが、屋上への経路として外階段を付ける場合などは、建ぺい率等、建築基準法の規定に抵触しないかチェックが必要です。また、建築確認申請が必要となる場合もありますので、所管行政庁に事前に確認しておきましょう。
もともと想定していなかった建物の使い方をする場合は、以上のように様々な観点からの検討が必要となります。屋上から隣地を覗き込むような形になってしまい、不快な思いをさせてしまうことも考えられますので、近隣への配慮も忘れないようにしましょう。