冬場の入浴時など、寒い浴室での急激な温度変化は、血圧の急変を誘発し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす「ヒートショック」の原因となります。特に、浴室に足を踏み入れた瞬間に感じる足裏の「ヒヤッと感」は心地よいものではありません。身体への負担を減らすためにも、寒冷地ではぜひ浴室暖房を取り入れたいものです。
暖房方式には、温風で空気の流れをつくる「対流式」と物体そのものに熱を持たせる「輻射式」に分類されます。対流式の暖房は、濡れた体に風が直接当たることで体温が奪われ、温風でも冷たく感じてしまう場合があります。裸で過ごす浴室こそ、風を当てない「輻射暖房」が適しているとも言えます。床を温めることで、足元から空気が温まり、快適な暖かさを得ることができます。また、直接的に足裏に温かさを感じることもできます。
このように、メリットの多い「浴室の床暖房」ですが、在来浴室への床暖房は、工事が大掛かりとなり初期費用が大きくなるため、一般家庭への普及が進んでいるとは言えません。一般家庭に増えているシステムバスに床暖房を取り入れることは困難ですが、それに代わるものとして「冷たさを感じにくい床材」が採用されるケースが増えています。